05_22吹付工事

吹付工事

吹付けとは、コンクリートやモルタルなどの下地に、仕上げ塗り材、塗料などを吹き付けることをいいます。
これにより、建築物の内外壁または天井の表面に、色彩や模様を作ります。

目次

材料

吹付け工事に必要な主な材料には、仕上塗材、下地調整剤、副資材があります。

仕上塗材

仕上塗材には薄塗材、複層塗材、厚塗材、その他の塗材があります。
原料が調整、調合してある既混合形の薄塗材には以下のような種類があります。
・セメント系薄付け仕上塗材(薄塗材C)
・けい酸質系薄付け仕上塗材(薄塗材Si)
・合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(薄塗材E)
・合成樹脂溶液系薄付け仕上塗材(薄塗材S)
・内装水溶性樹脂系薄付け仕上塗材(内装薄塗材W)
複層塗材と厚塗材は下塗り材、主材、上塗り材からなっていて、以下のような種類がありあります。
・ポリマーセメント系複層仕上塗材(複層塗材CE)
・けい酸質系複層仕上塗材(複層塗材Si)
・合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(複層塗材E)
・反応硬化形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(複層塗材RE)
・合成樹脂溶液系複層仕上塗材(複層塗材RS)
・防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材1種(防水形複層塗材E-1)
・防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材2種(防水形複層塗材E-2)
・防水形反応硬化形合成樹脂溶液系仕上塗材(防水形複層塗材RS)
・セメント系厚付け仕上塗材(厚塗材C)
・けい酸質系厚付け仕上塗材(厚塗材Si)
・合成樹脂エマルション系厚付け仕上塗材(厚塗材E)
その他の仕上塗材には、以下のような種類があります。
・軽量骨材仕上塗材
・ロックウール吹付け材
ただし、ロックウール吹付け材は、アスベスト及びアスベストを含有した製品は使用禁止となっています。

下地調整材

下地調整剤には以下のような種類があります。
・合成樹脂シーラー:吸い込み止め、付着性向上などのため用い、合成樹脂エマルションシーラーや合成樹脂溶液系シーラーがあります
・合成樹脂パテ:下地調整のために用い、屋内用の合成樹脂エマルションパテと、屋外用のエポキシ樹脂パテがあります
・セメント系下地調整塗材、ポリマーセメントモルタル

副資材

副資材としては以下のようなものがあります。
・セメント:普通ポルトランドセメントを用います
・砂:ふるい通過%が1.2㎜で100%、0.15㎜で5~15%のものを用います
・水:清浄で有害量の塩分・鉄分・硫黄分・有機物を含まないものを用います
・セメント混和:セメント混和用ポリマーディスパージョンを用います
・シンナー:仕上塗材製造業者指定のものを用います

下地

仕上げ塗料は下地の上に塗布されるので、下地の施工状態が仕上がりの良否を左右します。

下地の一般的条件

以下の事項について、施工者は確認してから、工事管理者の検査を受けます。
・不陸、目違いなどは許容範囲か
・ごみ、油、さび、レイタンス、コンクリートのこぼれなどが付着していないか
・十分な付着性と仕上げ塗材以上の強度を備えているか
・コンクリート、ALCパネル、ボード類下地などにひび割れ、破損、浮きがないか
・仕上塗材に適した乾燥状態になっているか
・下地取付け金物、木ネジ、釘などに防錆処理がされているか

適応する下地

仕上塗料仕上げに適応する下地はJASSにより規定されています。
詳しくはJASS 23を参照してください。

下地及び下地調整

下地及び下地調整に当たっては、以下の点に留意してください(詳しくは「左官工事」の「下地」の項を参照してください)。
・セメントモルタル下地表面は、金ごて仕上げで仕上げるのが標準的
・ただし、薄塗材C仕上げは、金ごて仕上げ面に不適切
・内装用薄塗材W仕上げは、はけ引き仕上面に不適切
・複層塗材のRE、RSおよび防水形複層塗材仕上げは、はけ引き仕上、木ごて仕上げ面下地に不適切

工法一般

工程、工法、色、模様などの決定

施工者は工程、工法、塗り回数と所要量について係員の承認を受けます。
係員が試し塗りを求めることがあります。
そのときは、塗りつけ見本より大型の板か、施工予定の下地に試し塗りを行います。

計画及び工程管理

施工者は、吹付工事をするときに、以下のような計画と工程管理を行います。
・塗付け仕様、塗付け模様、塗付け工程、下地条件、作業足場、養生方法、塗付け機器などについての施工要領書を、施工計画書に基づいて作成
・資材の手配、適正工期の確保、他工事との関連、周辺作業への配慮など、工事の品質、工期、労務、安全についての工程管理

現場管理、材料の取り扱い、機械器具

「左官工事」の「現場安全管理」「工具及び機械器具」の項と、「塗装工事」の「塗装材料の取り扱いと保管」の項を参照してください。

施工前の下地の点検

吹付け工事を行う前に、以下のような下地の点検を行います。
・セメント系仕上塗材を吸水性のある下地に塗る場合、下地には適度な湿り気をもたせておきます
・上記以外の下地では、仕上塗材の付着が損なわれない程度に、下地は乾燥させておきます(標準的な乾燥期間は下記参照)

下地材料     夏季    春・秋季     冬季
コンクリート     21日    21~28日     28日
セメントモルタル、
石膏プラスター     14日    14~21日     21日
ドロマイトプラスター 2ヶ月    2~3ヶ月     3ヶ月

吹付け操作

吹付け操作を行うときは、以下の点に注意します。
・スプレーガンのノズルを下地面に対し直角に保ち、模様むら、吹継ぎむら、吹き残しが生じないようにします
・スプレーガンの種類、口径、吹付け距離など吹付け条件は、製造業者の指定に従います

ローラー塗り操作

ローラー塗りを行う際、以下の点に注意します。
・ローラーカバーの種類、大きさは、材料、模様に応じて製造業者の指定に従います
・材料の飛散や、模様崩れがおこらないように、ローラーの運行速度を調整します

養生

左官工事」の「養生」の項と、「塗装工事」の「養生」の項を参照してください。

足場ばらし及びだめ部分の処理

足場ばらし及びだめ部分の処理にあたっては、以下の点に注意します。
・足場ばらしは、外装吹付けが終わってから、足場つなぎのだめ部分の補修計画に従って進めます
・足場つなぎのだめ部分を補修するには、セメント系仕上げ塗材、剛性樹脂系仕上塗材とも硬練りのセメント混和用ポリマーディスパージョン入りセメントモルタルを詰め、その上に同一の仕上塗材を用い、他の部分と同様になるように注意深く仕上げます。

検査

「塗装工事」の「検査」の項を参照してください。

薄付け仕上塗材仕上

セメント系薄付け仕上塗材(薄塗材C)仕上

薄塗材C仕上は、吹付けによる砂壁状仕上げで、内装にも外装にも用いられます。
別名、セメントリシンとも呼ばれています。
下地調整は、合成樹脂シーラーとセメント系下地調整塗材で行います。
主材はJIS規格に準ずるものを用い、外装には外装薄塗材Cを、内装には内装薄塗材Cをそれぞれ用います。
平らなコンクリート下地面に仕上塗材を施す場合は、下吹き材にセメント混和用ポリマーディスパージョンを混入して付着性を向上させます。
作業手順としては、まず下部吹きを行い、2時間ほどあけてから上吹きを行い、その後16時間以上乾かします。
上吹きだけの1回吹き仕上にする場合は、所要量を1.5~2kg/m2にします。
セメント混和用ポリマーディスパージョンを使用するときは、水とセメント混和用ポリマーディスパージョンをあらかじめ混合して、その混合液で薄塗材Cを練り混ぜます。
1回に混ぜ合わせる量は、2時間以内に使い終わる量にします。
圧送吹付け機を用いて1回吹きで仕上る場合には、だれ吹きになりやすいので、吐出量に見あった吹付け速度を保つようにします。

合成樹脂エマルション系薄付け仕上げ塗材(薄塗材E)仕上げ

薄塗材E仕上げは、吹付けまたはローラー塗りによる砂壁状仕上げで、内装にも外装にも用いられます。
施工が容易で性能も優れているため、広く採用されています。
軽量コンクリートやコンクリートブロックといった吸い込みの大きい下地や、部分的に吸い込みに違いがある下地には、合成樹脂エマルジョンシーラーで全面に吸い込み止めを行います。
作業手順としては、エマルジョンシーラーと水を用いて下塗りを行い、それから1時間以上あけて、薄塗材と水を用いて上塗りを行い、その後16時間以上乾かします。
下地の状態によっては、係員の承認があれば下塗りを省略することができます。

複層仕上塗材仕上

ポリマーセメント系複層仕上塗材(複層塗材CE)仕上

複層塗材CE仕上は、吹付けまたはローラー塗りによるタイル状仕上げで、内装にも外装にも用いられます。
別名、吹付けタイルとも呼ばれています。
主材の有機物含有量が5%以下で、上塗り材の有機物含有量が90g/m2以下のものは、JIS規定による表面試験の難燃一級に適合すれば、防火材料としての通則認定が与えられます。
複層仕上塗材は、下塗り材、主材、上塗り材の3つの材料から構成されています。
・下塗り材:無機質充てん材を含まない合成樹脂エマルションが用いられ、主材の下地への付着性を高める役割を果たします
・主材;細骨材、無機質混和材、増粘材、セメント、セメント混和用ポリマーセィスパージョンと水が用いられ、模様付けと下地の保護の役割を果たします
・上塗り材:アクリル樹脂系合成樹脂塗料(1液形)またはウレタン系合成樹脂塗料(2液系)などが用いられ、つや出し、着色、耐候性向上といった役割を果たします
作業手順は、以下の通りです。
・複層塗材CEゆず肌模様ローラー仕上げの場合は、まず下塗りをして、3時間以上あけて主材塗りをし、さらに24時間以上あけて上塗りをし、その後24時間以上乾かします。
・複層塗材CEゆず肌凹凸模様および処理模様仕上げの場合は、まず下塗りをしてから3時間以上あけて主材塗りをします。
主材塗りは基礎塗りと模様塗りの工程に分かれていて、基礎塗りをしてから1時間以上あけて模様塗りを行います。
模様塗りが終わってから1時間以内にてこまたはローラーで凸部の処理をし、24時間以上乾かしてから最後に上塗りをします。
上塗りが終わってからは、24時間以上乾かします。
下塗り、主材塗り、上塗りは以下の方法で行います。
・下塗り:複層塗材CE下塗り材を占用シンナーか水で均一に薄めて、はけで塗ります
・主材塗り:複層塗材CE主材と混和用ポリマーディスパージョンに水を加えてハンドミキサで練り混ぜ、吹きつけかローラーで塗ります
・上塗り:複層塗材CE上塗り材を、溶液系の場合は専用シンナーで、エマルション系の場合は水で均一に薄め、はけ、ローラー、スプレーガンなどでムラができないように2回塗りをします。

防水形複層仕上塗材(防水形複層塗材)仕上げ

防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材1種(防水形複層塗材E-1)仕上げ

ポリマーセメント系複層仕上塗材仕上には、下地にひびが入ると仕上にもひびが入ってしまうというの欠点があります。
これを補うために、仕上げ材料に防水機能やコンクリート保護機能を持たせたのが防水形複層仕上塗材です。
作業手順としては、まず0.1~0.3kg/m2の量で下塗りをしてから、1.3時間乾かしてから0.6~1.2kg/m2の量で増塗りをし、3時間以上あけてから主材塗りをします。
主材塗りは基礎塗りと模様塗りの工程に分かれていて、模様塗りは基礎塗りが終わってから16時間以上あけて行います。
主材塗りの塗料の量は1.5~1.8kg/m2、模様塗りの塗料の量は0.6~1.8kg/m2にします。
模様塗りが終わってから1時間以内に凸部の処理をし、その後24時間以上乾かしてから、0.25~0.35kg/m2の量で上塗りを2回します。
上塗りが終わってからは、48時間以上乾かします。

厚付け仕上塗材仕上げ

セメント系厚付け仕上塗材(厚塗材C)仕上げ

厚塗材C仕上げは、自然石の風合いをもった仕上げで、セメントスタッコ状仕上とも呼ばれています。
主結合材にはポルトランドセメントを用います。
補助結合材にはドロマイトプラスターまたは消石灰を用います。
補強材には再乳化形粉末樹脂またはセメント混和用ポリマーディスパージョンを用います。
骨材にはけい砂または寒水砂を用います。
主材の有機物含有量が5%以下、上塗り材の有機物含有量が90g/㎡以下で、JISの試験で難燃1級に適合したものは、上塗りをしない場合なら基材同等0003号の通則認定が、上塗りをする場合なら基材同等第0005号の通則認定が、それぞれ与えられます。
長所としては、不燃性、耐水性、耐アルカリ性に優れている、といった点が挙げられます。
短所としては、冬季白華が生じやすい、可使時間が短い、表面が凹凸模様で汚れやすい、といった点が挙げられます。
作業手順としては、まず0.1~0.3kg/m2の量で下塗りをし、0.5時間以上あけて主材塗りをします。
主材塗りは基礎塗りと模様塗りの工程に分かれていて、模様塗りは基礎塗りが終わってから3時間以上あけて行います。
主剤塗りの塗料の量は3~7kg/m2、模様塗りの塗料の量は2~3kg/m2にします。
模様塗りが終わってから1時間以内に凸部の処理をし、24時間以上あけて0.3~0.6kg/m2の量で上塗りを2回します。
上塗が終わってからは、24時間以上乾かします。

その他の仕上げ

軽量骨材仕上塗材仕上げ

軽量骨材仕上塗材仕上げは、吸音性、断熱性、防露性に優れていて、主として天井に施されます。
作業手順としては、合成樹脂エマルジョンシーラーと水を混ぜたものを下塗りしてから3時間以上あけて、吹付用軽量塗材と水を混ぜたものを1~2回上吹きします。
上吹きが終わってからは、24時間以上乾かします。

ロックウール吹きつけ材仕上げ

ロックウール吹きつけ材仕上げは、断熱、吸音、化粧を目的として内壁や天井に適用されてきましたが、現在では、アスベスト及びアスベストを含有した製品は使用禁止となっています。

合成樹脂エマルジョンシーラーと水を混ぜたもので下塗りした上に、30分以内にロックウール吹付け材と合成樹脂エマルジョンと水を混ぜたものを上吹きします。
それから30分以内に表面をこてで押さえて仕上げ、24時間以上乾かします。
なお、吹付けは、0.2g/m2の密度で、下塗りが乾かないうちに行います。
そのとき、ノズルは吹き付け面から50cmほど離して60~90°の角度に保ち、ノズル周囲から噴霧される水で吹付け材を十分に湿らせながら均一に吹き付けるようにします。

現在のロックウール材

過去にはアスベストが含有していた製品が使用されていましたが、現在主流となっているロックウール材はアスベストは一切使用されておりません。
この無石綿ロックウール吹付け材は、使用制限を受けることはありません。

※過去にアスベストを含有していた製品
アスベスト含有吹付けロックウール乾式(1980年以前の製品)
アスベスト含有吹付けロックウール湿式<個別認定>(1989年以前の製品)
アスベスト含有ロックウール化粧吸音版(天井板)(1988年以前の製品)

用語

・凸部処理:比較的大形の凹凸模様の凸部の頂部を平坦にする模様付け操作
・性能仕上塗材:防水、コンクリートの中性化の抑制などの特別の性能の付与を目的とする仕上塗材
・既混合形:工場で原料を調整、調合したもの
・エマルジョン:乳剤のことで、アスファルトを乳化剤 emulsifierを使って、水の中に微小な粒子状に分散させたもの
・下塗り材:下地の吸水性のばらつきを調整し、主材の下地への付着性を高めるもので、無機質充填材などを含まない合成樹脂エマルジョン
・主材:細骨材、無機質混和材、増粘剤、セメント、セメント混和用ポリマーディスパージョンと水で、主材は模様づけと同時に下地の保護層を形成する
・上塗り材:つや出し、着色、耐候性向上などのために用い、アクリル樹脂系合成樹脂塗料(1液形)、ウレタン系合成樹脂塗料(2液形)などがある

コメント

タイトルとURLをコピーしました