05_09カーテンウォール工事

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カーテンウォール工事

カーテンウォールとは、建築物における非耐力外壁を工場生産された部材で構成して建物を完成する外壁工事の一種です。

目次

カーテンウォール工事

構成部材の素材、取付け方式によって、以下のように分類されます。

素材による分類

メタルカーテンウォール:金属類

プレキャストコンクリートカーテンウォール:鉄筋コンクリート造

複合カーテンウウォール:金属類と鉄筋コンクリート造

取付け方式による分類

・ユニットパネル方式

・枠組パネル方式

・スパンドレルパネル方式

 

カーテンウォール部材の性能

耐火性能

建築基準法に基づく所定の耐火時間によって示し、その単位は時間とします。

耐風圧性能

耐風圧性能は、下記の状態における風圧力(kg/m2)によって示します。

・ほとんど補修の必要なしに継続使用に耐える限界。

部材のたわみがL/150以下かつ20mm以下 L:部材長。

・ユニットが脱落飛散しない限界。



性能値は、正圧、負圧の両方に対して耐風圧試験によって求めます。

通常は、L/150以下かつ20mm以下の値で代表し、必要に応じ、ユニットが脱落飛散しない限界を併記します。

層間変形追従性能

層間変位追従性能は、下記の状態における層間変位で表示し、単位は分子を1とする分数表示によるラジアン角とします。

・ほとんど補修なしに継続使用に耐える限界。

・ユニットが脱落しない限界。



性能値は、正負交番面内せん断変形試験によって求めます。

通常は、継続使用に耐える限界に該当する性能値で代表し、必要に応じ、面内せん断変形試験を併記します。

水密性能

・水密性能は、所定の注水量のもとで室内側に漏水を生じない限界の圧力差(kg/m2)で表示します。



性能値はJIS(建築用構造材パネル)に定める水密試験によって求めます。

なお性能値は可動サッシ部と、他の一般部分の両方に対して定めます。

気密性能

・気密性能は、圧力差1kg/m2に対する単位壁面積、単位時間当たりの通気量(m3/m2h)によって表示します。



性能値はJIS(アルミニウム合金製サッシ及び鋼製サッシ)に定める気密試験によって求めます。

断熱性能

・断熱性能は、熱貫流抵抗(m2h℃/kcal)によって表示します。



性能値は標準的な試験または算定式によって求めます。

遮音性能

・遮音性能は、遮音等級によって表示(従来はデシベル表示であった)し、これはJISに定める遮音等級曲線によって求めます。



性能値はJIS(実験室における音響透過損失測定方法)に定める音響透過損失測定試験によって求めます。


 

カーテンウォールの設計製作工程

一般的工程を下記に示します。

設計

・設計順序

デザイン決定→性能設定→詳細設計→製作→施工→完成検査

・カーテンウォールの工業化、量産化が進み、製作者側が独自の技術を開発しています。

設計者は、製作の詳細なプロセスまで立ち入らず、具体的な作り方は製作者に任せ、「性能仕様による発注」をする場合が多いです。

 

カーテンウォールのJASS規定

カーテンウォール

・カーテンウォールは、設定された性能値を満足し、かつ製作、施工、使用上の支障がないよう設計します。

・メタルカーテンウォールの使用材料の品質、寸法、機械的性質は、JIS規格に適合すること。

・プレキャストコンクリートカーテンウォールの使用材料の品質、形状、寸法などは、JASS規定、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準」およびJIS規格に適合すること。

ガラス

・一般用の板ガラスは、フロート板ガラス及び磨き板ガラスのフロートガラスとし、厚さ5~19mmのものを用います。

・防火用は、網入磨き板ガラス、および線入みがき板ガラスとし、厚さ6~10mmのものを用います。

・複層ガラスを用いる場合は、気体層の厚さ6mm以上のものを用います。

・ガラスを保持するために挿入、充てんする材料は、経年変化の少ない材料を用います。

・防火性能が要求される場合は、JIS規格の防火用2級加熱試験で火災の貫通を防止できるものとします。

・目地シールに用いるシーリング材はJIS規格品とし、層間変位、風圧、部材の熱変形による目地の変形に追従可能で、耐久性の優れたものとします。

荷重

・自重の算定にあたっては、吸湿、吸水するおそれのある材料を用いる部分は、これによる重量の増大を考慮します。

・カーテンウォール部材の設計にあたっては、カーテンウォールの脱型、反転、場内運搬、ストック、場外運搬、取付けなどの各種の取扱い時における荷重および外力を考慮します。

構造

・カーテンウォール部材の接合部は実情に応じてピンまたはローラーとみなします。

・層間変位追従性のすべては、一部を面構成材に依存する場合には、面構成材自体の変形、
面構成材間の接合部の柔軟性、またはその組合せによって変位追従性を確保します。

なおこの場合、製作、施工に伴う寸法誤差なども考慮します。

プレキャストコンクリートカーテンウォール

プレキャストコンクリートカーテンウォールでの鉄筋のかぶり厚さ、定着長さは下記によります。

・かぶり厚さ最小値は、仕上げのある場合は2cm、仕上げのない場合は3cmである。

・異形鉄筋を用いる場合は、主筋径の1.5倍の値と上記の値との大きいほうの値とする。

・部材端部の鉄筋は、必要な定着長さをとるものとする。

取り付け金物

・取付け用金物は、各種の繰返し荷重に対して十分に安全であるようにします。

また、その変形は性能上支障のない範囲とします。

・躯体構造物とカーテンウォール主要部材に相対変位が生じたとき、取付け用金物部分で変位を吸収することによってカーテンウォールの性能を維持するように設計されている取付け用金物は、次の条件を満足するものとします。

所要の相対変位の吸収が可能であり、それに伴って抵抗力が生じても部材に損傷を与えず、その性能が長期にわたって維持されること。

・取付け用金物の部材および躯体への定着強度は、取付け用金物の所要強度以上とします。

漏水・排水の処置

・漏水のおそれのある部分については、外部に排出するための有効な排水機構を備えるようにします。

・排水経路を経由しての室内外の空気の移動を最小に抑さえるように設計します。

気候・環境

・室内外の温度差、室内湿度によって、室内側や壁体内に有害な結露が生じないよう設計します。有害な結露水が生ずるおそれのある場合は、処理機構を取り込んだ設計をし、結露や凍結などで性能の低下や機能上の欠陥が生ずることかないように設計します。

・予想される年間および1日間の温度変化に伴う部材の変形が、損傷や性能低下につながらないよう熱安定性のよい設計をします。

ひびわれ制御

部材の乾燥収縮によるひびわれを制御するため次の点に留意します。

・部材周囲の拘束は強すぎないようにし、部材は可能なかぎり平板状とする。リブ状とする場合はリブで囲まれる平板部の面積を大きくしないようにする。

・応力集中を防ぐため、変断面部では鋭角状の形にしないこと。

・平板部はダブル配筋とし、鉄筋や溶接金網の間隔は部材厚の1.5倍以下とする。

・プレキャストコンクリートカーテンウォールなどの開口部にY形ガスケットを使う場合は、材端面から溝中心までの寸法は60mm以上とする。

・つり上げに用いる金物類は、自重の他に衝撃荷重も考慮し、製作、ストック、運搬、取付けの過程で予想される応力に対し、原則として4倍の安全率を持った設計とする。

 

製作

部材製作工場では、製作社内規格(材料管理・製作設備・作業標準・品質管理・その他)を設け、また製作工程計画を作成します。

 

施工

・施工者は工事に先立ち、施工図、施工計画書を作成します。

・カーテンウォール部材取付け用の墨は建物の基準墨から引き出します。

・躯体付け金物の取付け位置の寸法許容差は下記によります。

鉛直方向:±10mm

水平方向:±25mm

・カーテンウォール主要部材の取付けは、パネル材では4か所以上、棒状材では2か所以上仮止めし、脱落しないよう固定します。

・カーテンウォール部材取付け位置の寸法許容差の標準値は下記によります。


メタルカーテンウォール

目地の幅の許容差:±3

目地心の通リの許容差:2

目地両側の段差の許容差:2

各階の基準墨から各部材までの距離の許容差:±3


アルミニウム合金鋳物製カーテンウォール

目地の幅の許容差:±5

目地心の通リの許容差:3

目地両側の段差の許容差:4

各階の基準墨から各部材までの距離の許容差:±5


プレキャストコンクリートカーテンウォール

目地の幅の許容差:±5

目地心の通リの許容差:3

目地両側の段差の許容差:4

各階の基準墨から各部材までの距離の許容差:±5

 

用語

・カーテンウォール

工場生産された部材で構成される建物の非耐力外壁

・複合カーテンウォール

金属を用いた部材およびプレキャストコンクリートを用いた部材を組み合わせて構成します

・面構成材

カーテンウォール面を構成する各部材

・スパンドレル

外壁における上段の開口部と下段の開口部との間の部分

・層間変位

風圧力、地震力などによって生ずる、建物構造体の相隣る上下2層の間の相対変位

・相対変位

ある部材を基準として測定した他の部材の変位

・有効断面

有効とみなして構造計算に取り入れる断面

・設計基準強度

構造計算において基準としたコンクリートの圧縮強度、材令は28日を標準とします。

・脱形時強度

プレキャストコンクリート部材の脱形時におけるコンクリートの圧縮強度

・取付け用金具

カーテンウォールの取付けに用いる金物で、躰体付け金物・部材付け金物・連結用金物・調整用金物などの総称

・躯体付け金物

躯体にあらかじめ取り付けておく金物

・部材付け金物

カーテンウォール部材にあらかじめ取り付けておく取付け用金物

・連結用金物

カーテンウォール部材に取り付ける金物と躯体に取り付ける金物との取合いに使用する金物

・調整用金物

カーテンウォールの取付け精度を得るために用いる取付け位置調整用の金物

・先付け金物

インサート、ボルト、プレートなど、プレキャストコンクリート部材のコンクリート打込みに際してあらかじめ取付けておき、コンクリートに埋め込んで固定する金物

・1次シール(材)

建物外側に施すシーリング(材)

・2次シール(材)

1次シール材の補助としてカーテンウォール構成部材の建物内側に施すシーリング(材)

・減圧空間

カーテンウォール部材間の目地部において、気圧の差によって雨水が建物内部に浸入するのを防ぐために設ける空間

・ガスケット

カーテンウォール部材の支持およびジョイントのシールに使用します。ゴム弾性を有する成形材料。グレイジングガスケット・構造ガスケット・シーリングガスケットなどがあります

・ビード

ガラスやパネルをサッシや枠に固定するために、その周囲全体に使う金属や木製の細材、またはひも状の弾性成形シール材

・エッジクリアランス

ガラス板やパネルの端部とそれをはめるフレームとの間のあき、ガラス板やパネルの平面内において、エッジに対して垂直に測定した値

・面クリアランス

ガラスのような板状材の内外面と、それを固定するフレームや押縁の内側との間のあきで、部材の表面より垂直に測定した値

・バックアップ材

シーリング材の施工時に目地深さの調整、ならびに目地底への付着防止の目的で用いる材料

・付帯工事部材

カーテンボックス、ライフボルト、手すり・看板・航空標識灯など主として現場取付け後のカーテンウォール部材に取り付ける付随的な材料または部品

・先付け材料

サッシ、ゴンドラ用ガイドレール、タイル、本石など、プレキャストコンクリート部材のコンクリート打込みに際してあらかじめ取り付けておき、コンクリートに埋め込みまたは付着させて取り付ける材料

・接触腐食

金属が雨水や他の原因によって生ずる腐食性溶液に接したり浸された状態で起こす化学的腐食、もしくは腐食雰囲気中で接する2種の金属のうち電位の低いほうの金属に生ずる電気化学的腐食

 

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