05_03地業工事

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地業工事

地業工事とは、地盤に杭や敷砂利、割栗石、捨てコンクリートなどを布設する工事のことです。
それによって基礎スラブを下から支えます。

目次

地業および基礎スラブ工事

基礎スラブと地業を総称して基礎と呼びます。

基礎スラブとは上部構造の応力を地盤または地業に伝えるために設ける構造部分のことです。フーチング基礎ではそのフーチング部分を、べた基礎ではスラブ部分をさします。

 

一般事項

工法などの変更

施工にあたって、指定の工法、設計図書の内容どおりに実施することが困難になった場合は、工法などの変更を検討します。

試験施工

試験施工とは、設計図書に記載された工法が期待通りの効果を発揮するかどうかを調べるために行う施工のことです。

工事の前または初期に行います。

施工

施工は、設計図書や施工計画書に従って行います。

施工の一工程を完了したら、その施工が設計図書に定められた条件に適合するかどうかを確認します。

施工の結果、設計図書に示された品質と性能が満たされていない場合は、適切な処置をとります。

 

既製コンクリート杭地業工事

工場で製作された既製コンクリート杭を工事現場で打込んだり、埋め込んだりして、所定の位置に設置する工事です。

既製コンクリート杭の分類

既製コンクリート杭には遠心力コンクリート杭と振動締固めコンクリート杭があります。

遠心力コンクリート杭には、遠心力鉄筋コンクリート杭、遠心力プレストレストコンクリート杭、遠心力高強度プレストレストコンクリート杭、鋼管コンクリート杭があります。

振動締固めコンクリート杭には、つば付き鉄筋コンクリート杭があります。

既製コンクリート杭の設置方法の分類

打込み工法と埋込み工法があります。

代表的な打込み工法には、先端打撃工法があります。

代表的な埋込み工法には、プレボーリング工法、中掘り工法、回転圧入工法があります。

材料・その他

杭の種類、形状、寸法、先端部の構造などは設計図書によります。

最も一般に多用されている遠心力高強度プレストレストコンクリート杭は、設計基準強度800kgf/cm2以上のものを用います。

埋込み工法に用いる根固め液、杭周固定液に使用するセメントは、普通ボルトランドセメント、早強セメント、耐硫酸塩セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントを使用します。

工法および機器

杭の設置方法、工法および機器はJIS規格に準じます。

・打込工法は外径600mm以下の杭に用いられます。打撃に対する杭の貫入状態から杭の施工を管理することができるので、最も信頼できる工法です。ただし、騒音、振動などの公害問題により採用が困難な場合が多いです。

・プレボーリング工法はあらかじめ杭孔を掘削しておいて、杭を建込む工法です。建て込むときにセメントミルクを注入して、杭と孔の隙間を埋めることで、支持力の増大を計ります。

・中掘り工法は、杭の中空部を掘削しながら杭を圧入する工法です。比較的杭径の大きい場合に採用されます。支持力の発現にはセメントミルクによる根固めを行います。プレボーリング工法に比べ摩擦力の発現に問題があり、より大きな先端支持力を得るために先端を拡大することがあります。

・回転圧入工法は、杭先端にオーガーヘッドを兼用した特殊金物を付け、これを回転させて圧入する工法です。圧入しやすくするために、先端部にジェットノズルを付けて、圧水を噴出することが多いです。支持力の発現にはセメントミルクによる根固めが一般的です。

施工計画

人員・杭配置・継手方法・工事用機械器具・仮設備・施工順序を記載した杭配置図・試験杭の位置、公害安全対策、工程表、施工記録の様式などを記した施工計画図を事前に作成し、係員の承認を受けます。

運搬・取扱い

・運搬中は、杭に損傷を与えないよう枕材を敷き、荷くずれがないようロープ・くさびを用いて固定します。

・二段以上に積む場合は、各段の枕材を同一鉛直面上に配置します。

・杭の荷積み、荷下しは必ず杭を二点で支持しながら行います。

・杭を仮置きする場合は、地盤を水平にし、枕材を配置し、一段並べにします。やむをえず二段以上に積む場合は、余計な応力が生じたり、荷くずれしたりしないように適当な処置をとります。

材料・使用機器の検査

検査の結果、規定に合わない、所定の能力をもたない、損傷があるなどの欠陥が見つかったものは使用をやめます。

施工準備

・杭を設置する前に、地上および地中の障害物を撤去します。また、施工機械が傾かないように、地盤をしっかり整備しておきます。

・電力・給排水設備は、十分な容量を確保します。

・設計図に基づいて杭の位置を定めます。

打込みによる杭の設置

・杭の建込みに先立って、リーダが鉛直になるよう修正し、打込み中も鉛直を保ちます。

建込みの際は、杭に過大な応力を与えないように注意します。

・所定の位置に杭を鉛直に建て込み、徐々に試し打ちを行い、鉛直になっていることを確認したあと本打ちを行います。

・杭は、定められた条件で打ち止めます。

中堀工法による杭の設置

・所定の位置に鉛直を保ちつつ、杭を設置します。その際、必要以上に先掘りしないようにします。

・中掘工法の杭のつり込みは、杭中にオーガーを組み込んだ状態で行うので、注意が必要です。

・杭先端以深の地盤をオーガーで緩めながら既製杭を沈設してゆくので、沈設途中で杭が曲がることは少ないですが、支持層に近づいてからは掘削能率を犠牲にしてでもオーガーの先行掘りを小さくして、地盤の乱れを防止します。

・負圧によって地盤を緩めないよう、オーガーの引上げはゆっくり行います。

・杭を設置する深さは、設計図書や試験杭の結果などに基づいて決定します。

継ぎ杭、養生、杭頭処理、施工記録、補強

・継ぎ杭は上杭を軸線に合わせて建て込み、溶接により接合します。たとえ下杭が傾斜していても継手部分で修正してはなりません。

・プレボーリング工法では継手作業時に下杭が落下しないための処置をします。その際、ワイヤのみによる保持では垂直性を確保するのが難しく、また作業中に下杭が動いてしまうおそれがあるので、下杭保持用治具を用いるのが望ましいです。

・施工中は、杭の内部または掘削孔への転落を防ぐため、仮蓋をかぶせておきます。

・杭頭の切りそろえるときに、残存部に損傷を与えないようにします。また、杭周囲の土を必要以上に探掘りしないようにします。やむをえず深掘りした場合は確実に埋め戻します。

・施工したすべての杭について施工記録を作成します。

・設置時に破損した杭や、施工精度・耐力などが不充分な杭が生じた場合には、増し杭など適切な処置をとります。

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基礎杭
コンクリートパイル
 

鋼杭地業工事

材料、その他

・鋼管杭、H形鋼杭はJIS規格品を用います。

・杭の長さ、形状等は設計図書によります。現場で切断された杭材を再利用するときは、処置方法等について計画書を作成します。

・杭の先端・頭部・継手の加工は、計画図書に基づいて行います。

工法および機器、施工計画、運搬、仮置き、試験杭

杭の設置方法は、既製コンクリート杭地業工事に準じます。

・長期間にわたって仮置きする場合は、風雨に直接さらされないようにします。

特に現場溶接を行う開先部は防錆処置を施します。

負の摩擦力を低減する処理をした杭は、その機能が損なわれないようにします。

・継ぎ杭における下杭の打残しは、溶接作業に都合のよい高さとします。上杭の建込みは、上下の杭軸が一致するよう上杭の軸方向を異なる2方向から確認したうえで溶接します。

現場継手の溶接

継手は手溶接、半自動溶接、全自動溶接とします。

杭頭の処理、施工精度、施工記録、補強

設置完了時の杭頭の設計位置からの水平方向のずれは、10cm以下とします。

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場所打ちコンクリート杭地業工事

あらかじめ地盤中に削孔された孔内に配筋し、コンクリートを打込むことによって現場において造成される杭地業工事。

場所打ちコンクリート杭工法の掘削方法

機械掘削と人力掘削があります。

・機械掘削には、グラブバケット掘削(オールケーシング工法、ベント工法)・回転バケット掘削(アースドリル工法)・回転ビット逆循環掘削(リバースサーキュレーションドリル工法)・回転ビット正循環掘削(BH工法)・クラムシェル掘削(地中壁工法)・パーカッション掘削(地中壁工法)・ロータリカッター掘削(地中壁工法)があります。

材料、その他

□杭に使用するコンクリート材料

セメントはJISに規定する普通ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントを使用します。

骨材および、水の品質はJASSの規定に準じます。粗骨材の最大寸法は25mm以下とします。

表面活性剤は、 JIS適合品から選びます。

□杭に使用するコンクリートの調合

コンクリートの調合は、 JASSの規定によります。

気温による強度の補正は、原則として行いません。

所要スランプは20cm以下、水セメント比は60%以下とします。

単位セメント量は、清水または泥水中で打込むときは300kg/m2以上、空気中では270kg/m2以上とします。

表面活性剤を用います。所要空気量は4%を標準とします。

□杭に使用する鉄筋および鋼材

主筋には異形鉄筋を用います。その他は、JASSの規定によります。

工法、施工計画、試験杭

既製コンクリート杭地業工事に準じます。

機械掘削による施工

□掘削

掘削機械類の据え付けは所定の位置に精確に行います。

掘削は鉛直に、孔壁の崩壊や支持地盤の緩みが生じないよう行います。

孔壁保護に安定液を用いる場合は、管理を十分に行います。

掘削は、支持地盤まで確実に行います。支持地盤への根入れは、1m以上貫入させます。

スライム処理

・コンクリートを打込む前に、施工計画書の示す方法によりスライムを除去し、杭に有害なスライムがないことを確認します。

孔底にスライムが残ったままコンクリートを打設すると、杭先端の支持力の低下、スライム巻込みによるコンクリート強度の低下、杭底部の有効断面の不足などの不都合が生じるおそれがあります。

・スライムの確認方法には、重錐による方法と電気装置による方法があります。

・スライム処理には、鉄筋かごを挿入する前に行う1次スライム処理と、コンクリート打込み直前に行う2次スライム処理があります。

・スライムの除去方法としては、掘削機による方法、スライム受けバケットによる方法、エアリフトによる方法、水中ポンプによる方法、サクションポンプによる方法、ウォータージェットによる方法、モルタル底ざらいによる方法などがあります。

鉄筋の加工、組立て、保管

・鉄筋の加工はJASSの規定によります。

・鉄筋かごは、主筋、帯筋、補強筋、補強鋼材(つり込みワイヤー部補強等)、スペーサなどにより組み立てます。運搬時や建込み時に、有害な変形が生じないように堅固なものとします。ただし、長大にはせずに、6~10m程度とします。

・鉄筋は主筋と帯筋を鉄線で正しく結束して組み立てます。

・炭素量の多いSD345(SD35)以上は溶接すると材質変化が著しいので使用を避けます。

・主筋の継手は、重ね継手(重ね長さ45d以上、3箇所以上鉄線で結束)、ガス圧接もしくはA継手(鉄筋継手性能判定基準によるA継手)によります。

・帯筋の継手は、片面10d以上のフレアーグルーブアーク溶接で接合します。

・杭の長さが設計図と異なった場合、鉄筋かごの長さは最下段の鉄筋かごで調整します。

・鉄筋かごを積み重ねて保管する場合は、変形しないよう補強します。

鉄筋かごの建起し、建込み、接続

・変形が生じないように鉛直性を保ちます。

・孔壁の崩壊がないように静かに挿入します。

・接続の際は、鉛直性を確認し、鉄線か接続金物で堅固に結束します。

コンクリートの打込み

・コンクリートの打込みは練り混ぜ後、所定の時間内に打込みが完了するように、トレミー管工法によって行います。スライムなどを巻込むことがなく、一様に打ち上がるように連続して行います。

・トレミー管へ最初にコンクリートを投入する際は、プランジャー方式か底蓋方式によります。

なお、プランジャー方式とは、プランジャーを針金でつくっておき、静かにコンクリート管内水を押し下げ、孔底から20cm程度上げておいた管先端からプランジャーを押し出し、コンクリートを打設していく方式です。

また、底蓋方式とは、トレミー管の先端に水密性の底蓋を取り付け、これが孔底に達したらコンクリートを投入し、底蓋を孔底に残したままトレミー管を引き上げる方式です。

いずれもコンクリートの分離や泥水の巻込みを避けるための方式です。

・トレミー管は、コンクリート内に2m以上入れて打込みます。

・ケーシングを用いる工法では、ケーシングを引き抜くときに、鉄筋かごの共上りを起こさないようにし、ケーシングの先端は、コンクリート面より下にあるようにします。

・コンクリート打止め時には、原則として余盛りを行います。

・水中または泥水中でコンクリートを打設すると、上面部にレイタンスや泥水、スライムなどによる不良コンクリート部分ができるので、この分だけあらかじめ余分にコンクリートを打つ余盛りが必要となります。

・余盛りの高さは50~100cmが一般的です。

掘削孔の埋戻し

・杭頭部は一般には埋戻します。

杭頭処理

・杭頭部は設計図書に従って処理します。

・余盛り部分を除去するときは、本体に損傷を与えないように行います。

・杭本体に不良部分が認められるときは、適切な処置をとります。

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場所打ち杭
 

木杭による杭地業工事

・木杭は欠陥のない生丸太の樹皮を除いたものを用います。

・杭は、常にその全長が地下水位以下にあるようにします。

 

地盤改良地業工事

・地盤のせん断強度を増大させたり、地盤の圧縮性を減少させたりする目的で、土に締固め、強制庄密、固結、置換などの処理を行うことを地盤改良地業といいます。

・工法、材料、施工計画、試験地工、施工等は、いずれも場所打ちコンクリート杭地業工事に準じます。

・地盤改良中に改良地域、周辺地城で異常が起こった場合は、原因を調査し、速やかに対策をとります。

・改良地盤中から排出される水、降雨などの地表面水や工事用排水は、排水溝などを設けて、作業場内外を汚損しないよう処置します。

地盤改良工法の分類

□締固め工法

物理的または機械的に力を加え密度を増大させる工法。

バイブロフローテーション工法、砂圧入工法、砂利圧入工法があります。

砂質土地盤に対して、液状化の防止、沈下の抑制、杭の水平抵抗の増大などの効果があります。

□強制庄密工法

強制的に間隙水を排除して、圧密沈下を促進させる工法。

載荷工法、サンドドレーン工法、プラスチックドレーン工法があります。また、これらを組合せて行うこともあります。

粘性土地盤に対して、支持力の増大、沈下の抑制、枕の水平抵抗の増大などの効果があります。

固結工法

セメントや石灰を混入し、土粒子間の化学的結合力を増大させる工法。

セメント処理工法、石灰処理工法、深層混合処理工法などがあります。

粘性土・砂質土地盤に対して、支持力の増大、沈下の抑制、液状化の防止などの効果があります。

置換工法

原地盤を良質な土、ソイルセメントあるいはコンクリートなどに置き換える工法。

粘性土・砂質土地盤に対して、支持力の増大、沈下の抑制などの効果があります。

 

砂・砂利・割栗・地肌地業、玉石地業、捨てコンクリート地業

砂地業

砂は厚さ30cmごとに、突固め、水締め、振動締め等で締固めます。周囲には矢板を打って、砂が逃げないようにします。

砂利地業

砂地業の砂の代りに、砂利を用います。施工方法は砂地業に準じます。また、捨コンクリート地業の下地としても施工されますが、この場合の厚さ6cm内外です。

割栗地業

・割栗石の尖ったほうを下にして並べ、十分に付き固めることで、上に乗る基礎が沈下しないようにするのが本来の割栗地業です。しかし、最近では、通常の砕石を使用する場合が多くなっています。なお、割栗の代わりに砕石を用いることができるのは、地盤が良好で、地耐力3~5トン以上の場合です。

・割栗、砕石どちらの場合にも大切なことは、目潰し砂利・砂により隙間なく充填し、ランマーで3回突き以上、ソイルコンパクターで2回締め又は振動ローラー締めとし、十分に締め固めることです。特に、凸凹部は目潰し砂利で上ならしをします。地業に関しては、基礎工事完了後すぐに埋戻され、見えなくなってしまうので、施工業者も監理事務所もあまり気にかけない場合が多いですが、基礎の不等沈下などに影響を及ぼすので、監視することが大切です。

・割栗石は一層とし、割栗量の1/3程度の目つぶし砂利を散布し、たこ、ランマー等で突固めます。

・突べりとして6~9cmを見込んでおきます。

玉石地業

玉石は一層とし、周囲を目つぶし砂利等で安定させます。

捨コンクリート地業

他の工事の補助として施工されることが多く、コンクリート面のみでは大きな支持力は期待できません。

コンクリートの設計基準強度は150kgf/cm2以上とします。

一般に5~10cmの厚さが必要です。

 

施工計画書・報告書

実例提示

 

用語

用語の定義

・地業

基礎スラブを支えるため、それより下に敷砂利・杭などを設けた部分。

・基礎スラブ

上部構造の応力を地盤または地業に伝えるために設けられた構造部分。フーチング基礎ではそのフーチング部分を、べた基礎ではスラブ部分をさします。

・支持地盤

構造物の基礎を支えるのに十分な耐力を期待できる地盤、または支えている地盤。

・耐力(地盤または杭の)

支持力と沈下の両方について安全性を考慮した荷重度または荷重値、許容地耐力度は、許容支持力度内で、沈下または不同沈下が許容限度内に収まるような荷重度、または荷重値として決定されます。

・杭

基礎スラブからの荷重を地盤に伝えるために、基礎スラブ下の地盤中に設けられる柱状の地業。

・杭先端

杭の下端部。

・杭頭

杭の上端部。

・末口

杭の端部のうち細いほうの部分、または直径。太いほう、またはその直径を元口といいます。

・増し打ち

予定の本数に追加して杭を設置すること。

 

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