壁量の確保(壁量計算)

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壁量の確保(壁量計算)

目次

壁量の確保(壁量計算)

階ごと、方向ごとに、存在壁量が、地震力に対する必要壁量、風圧力に対する必要壁量、の両方の数値以上であることを確認します。(令第46条4項)




木造住宅は地震力や風圧力などの水平力に、耐力壁で抵抗します。


よって、耐力壁の種類と量が必要となります。

建築基準法施行令で最低限必要な壁量が定められています。


これを「必要壁量」といいます。


一方、計画している木造住宅に実際ある耐力壁から算出される壁量を「存在壁量」といいます。


壁量計算とは、1.地震や風で生じる、2.2方向の横からの力(水平力)に対抗するために、3.1階2階ともに、必要壁量≦存在壁量であることを確認することをいいます。


 

壁量計算の流れ

(1)必要壁量の算出

地震力

1.階ごとに平面図から床面積を求めます。


2.1で求めた床面積に「床面積に乗ずる値」を掛けて地震力に対する必要壁量を求めます。




風圧力

1.階ごと、方向ごとに立面図から見付面積を求めます。


2.1で求めた見付面積に「見付面積に乗ずる値」を掛けて風圧力に対する必要壁量を求めます。

(2)必要壁量の決定

(1)で求めた値の、どちらか大きい方が必要壁量となります。

(3)存在壁量の算出

1.平面図に耐力壁の位置を書き込みます(柱・壁位置図を作成します)。


2.階ごと、方向ごとに、耐力壁の倍率に耐力壁の長さを掛けた値を合計して、存在壁量を求めます。

(4)判定

階ごと、方向ごとに、(3)で求めた存在壁量が、(2)で決定した必要壁量以上であることを確認します。

 

(1)必要壁量の算出

必要壁量には、地震力に対する必要壁量と風圧力に対する必要壁量があります。


水平力が加わる方向を2方向(張り間方向及びけた行方向)に分解して考え、その方向ごとに安全性を確認します。

1.地震力に対する必要壁量

地震力に対する必要壁量=床面積×床面積に乗ずる値


床面積から、各階の地震力に対する必要壁量を求めます。


地震力に対する必要壁量は、張り間方向、けた行方向とも同じ値になります。


「床面積に乗ずる値」は、建物の種類別に施行令第46条第4項表2から該当する値を用います。


なお、特定行政庁が、地盤が著しく軟弱な区域として指定した区域では値が異なりますので、指定の有無を念のため確認しましょう。




床面積に乗ずる値(施行令第46条第4項表2より)

























建物の種類 床面積に乗ずる値(cm/㎡)
平屋建て 2階建て1階部分 2階建て2階部分
軽い屋根
11 29 15
重い屋根 15 33 21



*小屋裏収納などがある場合の床面積の加算

小屋裏収納面積が直下階の床面積の1/8を超える場合には、壁量計算等を行う上で、以下の式で計算された値を各階の床面積に加える必要があります。

地震力計算用小屋裏収納床面積=(小屋裏収納の平均高さ/2.1)×小屋裏収納の床面積

2.風圧力に対する必要壁量

風圧力に対する必要壁量=見付面積×見付面積に乗ずる値


a. 見付面積を算出

ここで求める見付面積は、その階の耐力壁が負担する風圧力の範囲のことで、各階の床面から1.35m以下の部分を除いた面積です。


また、外郭線は柱心ではなく、壁の厚さや屋根の厚さも考慮して求めます。


b.見付面積に乗ずる値を選択

見付面積に乗ずる値(施行令第46条第4項表3)
















地域 係数(cm/㎡)
特定行政庁が特に強い風が吹くとして定めた地域 50~75の間で特定行政庁が定めた値
その他の地域 50



c. 風圧力に対する必要壁量を算出

「aで求めた見付面積」×「bで選択した値」=「必要壁量」です。

このとき、張り間方向の面が受ける風圧力を支えるのはけた行方向の耐力壁、けた行方向の風圧力を支えるのは張り間方向の耐力壁、となります。

 

(2)必要壁量の決定

各階・各方向の地震力に対する必要壁量と風圧力に対する必要壁量の値を比べて、大きい値を必要壁量とします。


地震力に対する必要壁量は両方向共通ですが、風圧力に対する必要壁量は、方向別に求めます。

 

(3)存在壁量の算出

存在壁量=(耐力壁の壁倍率×耐力壁の長さ)の合計


計画中の平面図から、耐力壁の壁倍率と長さを拾い、存在壁量を求めます。


1.存在壁量とは

存在壁量とは、耐力壁の壁倍率に長さを乗じて得られる値の合計のことです。


軸材の仕様や面材の種類によって、壁倍率が異なります。


壁量とは、耐力壁の倍率を1.0に換算した合計壁長さのことです。


同じ必要壁量を満たす場合、倍率の大きい耐力壁を使用すると耐力壁の枚数が少なくてすみ、倍率の小さい耐力壁を使用すると、耐力壁の枚数が多くなります。

2.耐力壁の種類と壁倍率

耐力壁の種類と壁倍率は、施行令第46条第4項ならびに昭56建告第1100号に示されています。


このほかに、大臣認定を取得した耐力壁もあり、その場合の仕様・壁倍率は認定内容によります。


仕様が併用されている耐力壁ではその数値を合計することができますが、その上限は5.0倍です。


また、大臣忍耐を取得した耐力壁の併用の可否は、認定の内容によります。

建築基準法及び告示に示されている耐力壁の種類(令第46条より)

























































軸組の種類 倍率
(一)
土塗壁又は木ずりその他これに類するものを柱及び間柱の片面に打ち付けた壁を設けた軸組 0.5
(二) 木ずりその他これに類するものを柱及び間柱の両面に打ち付けた壁を設けた軸組 1.0
厚さ15mm以上で幅90mm以上の木材又は径9mm以上の鉄筋の筋かいを入れた軸組
(三) 厚さ30mm以上で幅90mm以上の木材の筋かいを入れた軸組 1.5
(四) 厚さ45mm以上で幅90mm以上の木材の筋かいを入れた軸組 2.0
(五) 90mm角以上の木材の筋かいを入れた軸組 3.0
(六) (二)から(四)までに掲げる筋かいをたすき掛けに入れた軸組 (二)から(四)までのそれぞれの数値の2倍
(七) (五)に掲げる筋かいをたすき掛けに入れた軸組 5.0
(八) その他(一)から(七)までに掲げる軸組と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの 0.5から5までの範囲内において国土交通大臣が定める数値
(九) (一)又は(二)に掲げる壁と(二)から(六)までに掲げる筋かいとを併用した軸組 (一)又は(二)のそれぞれの数値と(二)から(六)までのそれぞれの数値との和

基準法及び告示に示されている耐力壁の種類(昭56建告第1100号より)

面材張り大壁









































































材料 釘打ちの方法 倍率
釘の種類 釘の間隔
(一) 構造用合板(構造用合板の日本農林規格に規定するもので、厚さが5mm以上のもの、屋外壁にあっては7.5mm以上とし、特類に限る。) N 50
15cm以下

2.5
(二) パーティクルボード(JISA5908-1994に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)又は構造用パネル(構造用パネルの日本農林規格に適合するものに限る。)
(三) ハードボード(JISA5907-1977に定める450又は350で厚さが5mm以上のものに限る)
2.0
(四) 硬質木片セメント板(JISA5417-1985に定める0.9℃で厚さが12mm以上のものに限る)
(五) 炭酸マグネシウム板(JISA6701-1983に適合するもので厚さ12mm以上のものに限る)
GNF40又はGNC40
(六) パルプセメント板(JISA5414-1988に適合するもので厚さが8mm以上のものに限る)
1.5
(七) 構造用せっこうボードA種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
1.7
(八) 構造用せっこうボードB種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)

1.2
(九) せっこうボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
0.9
(十) シージングボード(JISA5905-1979に定めるシージングインシュレーションボードで厚さが12mm以上のものに限る)
SN 40 1枚の壁材につき外周部分は10cm以下、その他の部分は20cm以下 1.0
(十一) ラスシート(JISA5524-1977に定めるもののうち角波亜鉛鉄板の厚さが0.4mm以上、メタルラスの厚さが0.6mm以上のものに限る)
N 38 15cm以下



胴縁仕様大壁 






























































材料 釘打ちの方法 倍率
釘の種類 釘の間隔
(一) 構造用合板(構造用合板の日本農林規格に規定するもので、厚さが5mm以上のもの、屋外壁にあっては7.5mm以上とし、特類に限る。) N 32以上
15cm以下

0.5
(二) パーティクルボード(JISA5908-1994に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)又は構造用パネル(構造用パネルの日本農林規格に適合するものに限る。)
(三) ハードボード(JISA5907-1977に定める450又は350で厚さが5mm以上のものに限る)
(四) 硬質木片セメント板(JISA5417-1985に定める0.9℃で厚さが12mm以上のものに限る)
(五) 炭酸マグネシウム板(JISA6701-1983に適合するもので厚さ12mm以上のものに限る)
(六) パルプセメント板(JISA5414-1988に適合するもので厚さが8mm以上のものに限る)
(七) 構造用せっこうボードA種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
(八) 構造用せっこうボードB種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
(九) せっこうボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
(十) シージングボード(JISA5905-1979に定めるシージングインシュレーションボードで厚さが12mm以上のものに限る)
(十一) ラスシート(JISA5524-1977に定めるもののうち角波亜鉛鉄板の厚さが0.4mm以上、メタルラスの厚さが0.6mm以上のものに限る)



受け材仕様真壁















































材料 釘打ちの方法 倍率
釘の種類 釘の間隔
(一) 構造用合板(構造用合板の日本農林規格に規定するもので、厚さが7.5mm以上のもの、屋外壁にあっては特類に限る)
N 50
15cm以下

2.5
(二) パーティクルボード(JISA5908-1994に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)又は構造用パネル(構造用パネルの日本農林規格に適合するものに限る。)
(三) せっこうラスボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが9mm以上のものに限る)の上に、せっこうプラスター(厚さ15mm以上塗ったものに限る)

GNF32又はGNC32

1.5
(四) 構造用せっこうボードA種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
GNF40又はGNC40
(五) 構造用せっこうボードB種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)

1.3
(六) せっこうボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
1.0



貫仕様真壁















































材料 釘打ちの方法 倍率
釘の種類 釘の間隔
(一) 構造用合板(構造用合板の日本農林規格に規定するもので、厚さが7.5mm以上のもの、屋外壁にあっては特類に限る)
N 50
15cm以下

1.5
(二) パーティクルボード(JISA5908-1994に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)又は構造用パネル(構造用パネルの日本農林規格に適合するものに限る。)
(三) せっこうラスボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが9mm以上のものに限る)の上に、せっこうプラスター(厚さ15mm以上塗ったものに限る)

GNF32又はGNC32

1.0
(四) 構造用せっこうボードA種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
0.8
(五) 構造用せっこうボードB種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)

0.7
(六) せっこうボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
0.5




床勝ち仕様大壁
































材料 釘打ちの方法 倍率
釘の種類 釘の間隔
(一) 構造用せっこうボードA種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る) GNF 40又はGNC40
15cm以下

1.6
(二) 構造用せっこうボードB種(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)

1.0
(三) せっこうボード(JISA6901-2005に適合するもので厚さが12mm以上のものに限る)
0.9



土塗り壁































軸組の仕様 中塗り土 塗り厚 倍率
厚さ1.5cm以上で幅10cm以上の木材を用いて91cm以下の間隔で、柱との仕口にくさびを設けた貫を3本以上設け、幅2cm以上の割竹又は小径1.2cm以上の丸竹を用いた間渡し竹を柱及びはり、けた、土台その他の横架材に差し込み、かつ、当該貫にくぎで打ち付け、幅2cm以上の割竹を4.5cm以下の間隔とした小舞竹又はこれと同等以上の耐力を有する小舞竹を当該間渡し竹にシュロ縄、パーム縄、わら縄その他これらに類するもので締め付け、荒壁土を両面から全面に塗った軸組 (一) 両面塗り 7cm以上 1.5
(二) 両面塗り 5.5cm以上 1.0
(三) 片面塗り 5.5cm以上 1.0



面格子壁































軸組の仕様 見付幅、厚さ 格子の間隔 倍率
木材を、右「格子の間隔」欄で掲げる間隔で互いに相欠き仕口により縦横に組んだ格子壁(継手のないものに限り、大入れ、短ほぞ差し又はこれらと同等以上の耐力を有する接合方法によって柱及びはり、けた、土台その他の横架材に緊結したものに限る。)を設けた軸組
(一) 見付け4.5cm以上、厚さ9.0cm以上 9cm以上16cm以下 0.9
(二) 見付け9.0cm以上、厚さ9.0cm以上 18cm以上31cm以下 0.6
(三) 見付け10.5cm以上、厚さ10.5cm以上 18cm以上31cm以下 1.0



落とし込み板壁













軸組の仕様 倍率
厚さ2.7cm以上で幅13cm以上の木材(落とし込み板)に相接する落とし込み板に十分に水平力を伝達できる長さを有する小径が1.5cm以上の木材のだぼ又は直径9mm以上の鋼材だぼ(
>JISG3112-1987)を62cm以下の間隔で3本以上配置し、落とし込み板が互いに接する部分の幅を2.7cm以上として、落とし込み板を設けた溝に入れて、はり、けた、土台その他の横架材相互間全面に、水平に積み上げた壁を設けた軸組
0.6











前記のうち二つまたは三つを併用した壁(併用可能かどうかは令第46条1(9)、昭56建告100号第1第九号、第十号、第十一号を確認すること) 倍率の和

上限5.0











国土交通大臣が前記と同等以上の耐力を有するものとして認める軸組、国土交通大臣の認定を受けたもの 大臣の認める数値 上限5.0

 

(4)判定

各階・各方向で、全てが必要壁量≦存在壁量であることを確認します。(令第46条4項)




各階・各方向で判定を行い、全ての判定が適合していなければなりません。


不適合の場合は、壁の量と配置を見直し、再計算を行い確認します。




*耐力壁とみなせない壁


1.筋かいの場合


・筋かいの上部(又は下部)に横架材(又は基礎)がない場合


・幅が狭すぎる場合(幅が90cm未満)


2.面材耐力壁の場合


面材が横架材に達していない

 

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