日射熱の利用(太陽熱の利用・1)


日射熱の利用(太陽熱の利用・1)

目次

目的とポイント

・日射熱の利用は、冬期における暖房エネルギー消費の削減に有効な技術です。


・日射熱の取得・利用は、取得熱量を増やすこと(集熱)、取得熱の損失を抑えること(断熱)、取得熱を有効に利用し室温の低下を防ぐこと(蓄熱)、により実現できます。


・日射熱を取得する主要な部位はガラス窓の開口部です。


・集熱面となるガラス窓は、一般に熱損失部位でもあるので、熱収支バランスに配慮した開口部仕様とする必要があります。


ガラスの日射透過率が大きく、ガラスおよび建具の断熱性が大きいほど、熱収支はよくなります。


・室温を安定して保つためには、一日の熱収支バランスをとるだけではなく、日中の熱損失を上回る熱取得を行って夜間の熱損失を補うことが有効です。


・夏期の日射遮蔽対策による冷房エネルギーの削減効果も併せて考え、日射の取得と遮蔽を両立できるように開口部まわりを計画することが重要です。

 

日射熱利用技術の検討ステップ

ステップ1 日射熱の取得・利用可能性の確認・検討


(1) 地域の気候特性の確認

(2) 立地条件(日照障害の影響)の確認

(3) 建物の方位(集熱面となる開口部の方位)の検討



ステップ2 前提となる建物性能水準の確保


(1)住宅の断熱水準の確保

(2)集熱開口部面積の確保(延べ面積の10%以上)



ステップ3 開口部の断熱手法の検討(手法1)


開口部断熱性の向上




ステップ4 開口部からの集熱手法の検討(手法2)


集熱開口部面積の増加(延べ面積の20%以上)




ステップ5 蓄熱手法の検討(手法3)


蓄熱材の利用

 

手法1 開口部の断熱手法(開口部断熱性の向上)

開口部の選定上の留意点

ガラスの仕様

熱損失を抑えることと取得熱を増やすことの両面が求められます。


一般には、断熱性能が高く(熱貫流率が小さく)かつ日射透過性の大きい仕様のガラスを選択することが有効と考えられます。

建具の仕様

窓枠部分の断熱性能を向上させるためには、建具自体を木材や樹脂など断熱性が高く熱を伝えにくい材料でつくることも効果があります。


サッシの機密性も影響しますので、気密サッシの利用が望まれます。

熱収支に配慮した空間構成手法

集熱空間や集熱部位を居住空間から分離することにより、室内の熱収支の制御が容易になる場合があります。


縁側やサンルームなどの緩衝空間は、その例です。


居住空間に比べ温熱環境性能があまり問われない水まわりなどの付属室を、冷気を防ぐゾーンとして北側に配置することも有効な方法です。

 

手法2 開口部からの集熱手法(集熱開口部面積の増加)

開口部は熱損失が大きい部分ですが、南向きの開口部であれば1日の熱収支は+になる場合が多くなりますので、集熱面となる開口部面積を増大することが有効になります。


ただし、地域の気候特性やガラス窓の仕様について配慮が必要です。

 

手法3 蓄熱手法(蓄熱材の使用)

蓄熱は室温を安定して保つのに効果のある技術で、日中は熱を吸収して室のオーバーヒートを防ぎ、夜間は吸収・蓄熱した熱を放出して室温の低下を防ぎます。


夏期においては、夜間の冷気を蓄え(蓄冷)、日中の冷却効果をもたらします。


蓄熱に有効な建築部位の対象には、床、外壁、間仕切り壁、天井があげられます。


家具なども蓄熱効果があります。

蓄熱部位の材料

熱容量(容積比熱)が大きい


熱が伝わりやすい


表面からの熱の吸収・放散がすみやかに行われること


といった特徴をもつものが適しています。


最も重要なのは熱容量で、蓄熱部位の熱容量が大きいほど、室温の変動が抑えられ安定します。

蓄熱部位の設計上の留意点

蓄熱部位の位置

蓄熱の効果は、蓄熱部位に直接日射が当たり日射需要量が大きいほど顕著になりますが、日射が直接当たらない部位でも蓄熱効果を見込むことができます。

蓄熱部位の面積

蓄熱部位の面積は広いほど効果が大きくなります。


広い面積に薄く熱を蓄える設計とすることが望まれます。

蓄熱部位の厚さ

材料の有効厚さ以上では蓄熱性能は変わりません。


厚さが薄い場合にも、相応の蓄熱効果は得られます。

蓄熱の方式について

直接蓄熱方式

居住空間内の床・壁・天井などが蓄熱部位で、放射・対流によって直接的に熱の授受を行う方式です。

間接蓄熱方式

集熱部と蓄熱部が分離され、その間で熱の移送が行われる方式です。


木造根太間に水袋を入れる方法や、床下に室内空気を送り土間床に蓄熱する方法も、この方式の一種といえます。

 

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