省エネルギー
省エネルギー
エネルギー消費量
産業部門
家庭・業務
運輸
最近の傾向として、家庭のエネルギー消費量の増加が問題となってきている。
住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する法律の施行
環境保全の判断指標及び省エネルギー指標として、
冬季、熱損失係数、夏季、夏期日照取得係数を定めている。
環境保全の指標
◇地球温暖化係数(グローバルウォーミングポテンシャル)
地球温暖化をもたらす程度を温室効果ガスの種類ごとに二酸化炭素との比で表した係数。
◇ライフサイクルCO2
建築物の使用期間全体(建設資材製造を含む)から、運用、廃棄にいたるまでの期間)の二酸化炭素の排出量。地球温暖化防止の観点から、建築が地球環境に及ぼす影響を図る指標。
省エネルギー指標
エネルギーの使用の合理化に関する法律
昭和54年6月22日 法律 第49号
平成14年12月11日 改正 法律 第145号
◇事業者の判断基準
◇建築主の努力
◇建築物に係る指導及び助言
◇建築物の省エネ指標
◇年間熱負荷係数 PAL ぺリメタ アンニュアル ロード
建築物の外周部の断熱性能を評価する指標
PAL=屋内周囲空間の年間熱負荷/屋内周囲空間の床面積
屋内周囲空間
地階を除く各階の外壁中心線から、水平距離5m以内の屋内空間と屋根直下の屋内空間および外気に接する床(ピロティ部分など)の直上の屋内空間。
年間熱負荷
年間の冷暖房空調時間帯に発生する冷暖房負荷の合計。
◇エネルギー消費係数 CEC コンフィシエント エネルギー コンサンピション
一定条件での各種設備システムにおける効率的利用の判断基準を示す。
CEC=年間消費エネルギー量/年間仮想消費エネルギー量
建築設備のエネルギーの有効利用効率
CECは、ある標準的なシステムを仮想し、その仮想の消費エネルギー量に対する、当該設備システムの消費エネルギー量の比率を定めたものである。
この値が小さいほどエネルギーが効率的に利用されていることを示す。
◇CECの基準値設定対象となる建築設備
各種用途の建物に対して、空調(CEC/AC)、換気(CEC/V)、照明(CEC/L)、給湯(CEC/HW)エレベーター(CEC/EV)の5種類の基準値が定められている。
空調エネルギー消費係数
換気エネルギー消費係数
照明エネルギー消費係数
給湯エネルギー消費係数
エレベーターエネルギー消費係数
PALとCECは、ともにその値が小さいほど、省エネルギー性能が高いと評価することができる。
◇省エネルギー計画書
一定規模以上の建築物を建築する場合、PALとCECを記入した省エネルギー計画書を届出なければならない。
◇各種建築物の一次エネルギー消費量
建築物の省エネ対策
建築物のエネルギー消費量の減少対策
熱損失係数(Q)[単位:W/(m2・K)]
住宅の熱損失を総合的に判断する暖房用省エネ指標が、熱損失係数(Q)である。
熱損失係数=熱貫流による熱損失+換気による熱損失/延べ面積
住宅の壁、天井、床などを通じて、熱貫流によって失われる熱量と換気によって失われる
熱量との合計を、室内外の温度差1℃につき、延べ面積1m2および1時間当りについて表
した数値。
熱損失係数小さくすることは、暖房時において、熱損失を低減するばかりでなく、一般に、室内上下温度差を小さくし、室内側表面の低下も小さいので温冷感の面からも、表面結露防止の面からも有効である。
熱損失係数を小さくする手法
◇外気に接する部分の面積を小さくする
床面積に対して、外気に接する部分の表面積の比率を小さくする。
小さい住宅より大きな住宅、一戸建より集合住宅、
複雑な平面より四角で凸凹のない平面、
平家建より2階建のほうが熱損失係数を小さくできる。
◇開口部の断熱性・気密性をよくする
壁の断熱性をよくしても、窓からの熱損失の割合が大きいので、窓の気密性、断熱性を高めることは、熱負荷を減少させるのに有効である。
複層ガラス窓、二重窓、雨戸等を設け、窓の断熱性を高める。
度日 デグリーデ
暖房または冷房時の設定温度と1日の平均外気温との差を、年間の使用期間中にわたって換算した値である。
暖房デグリーデ
冷房デグリーデ
夏期日照取得係数
外壁からの日射侵入+屋根からの日射侵入/床面積の合計
=外気に接する壁の面積×日射侵入率×方位係数+屋根の水平投影面積×日射侵入率/
床面積の合計
夏期日照取得係数が大きいほど、日射による取得熱量が大きく、冷房負荷がかかる。
建築物の省エネルギー対策とは、エネルギーを効率的に利用し、冷暖房、照明などに要するエネルギーをできるだけ節約することである。
平面計画上の対策
◇建物の形状
床面積に対して、外気に接する部分の表面積の比率を小さくする。
小さい住宅より大きな住宅、一戸建より集合住宅、
複雑な平面より四角で凸凹のない平面、
平家建より2階建のほうが熱損失係数を小さくできる。
一般に、床面積が一定の場合、防暑計画上、好ましい平面形は、正方形より東西軸を長くすることが望ましい。
この時、窓などの開口は、東西面よりも、南北面に多く設けるほうが有利である。
◇空調と設備
空調を行う必要のない便所、エレベーター、階段などをまとめたコア部分は、建物の外周部、特に西側に配置する。
冷房負荷を減らすうえで効果がある。
中央にコアを配置する平面形よりも、外周部にコアを配置するダブルコアのほうがPAL(年間熱負荷係数)を小さくできる。
◇断熱性の向上
断熱材を使用し、熱伝導率を小さくする。
断熱性を高めることにより、熱負荷を減少させることができる。
室内の上下温度差が小さくなり、放射(ふく射)などの温熱環境も改善される。
窓を複層ガラス窓とすると、効果が大きい。
◇気密性の向上
外壁・開口部の気密性能を高め、外気の流入を少なくする。
気密性を向上させることにより、熱損失係数の値を小さくする。
◇日射の遮へい
庇やブラインドにより夏季の日射を遮へいし、冷暖房負荷の軽減を図る。
◇換気・通風の促進
換気・通風を促進するため、季節風などを考慮して、南面窓を開放可能とし、北面にも風の出口となる開口部を設ける。
高さが違う位置に窓を2箇所設けた場合でも、通風効果を期待できる。
◇小屋裏の換気・通風
防暑対策の一つとして、建築物に二重屋根を設け、その間の空気層を十分に換気すると効果的である。
天井を十分に断熱した場合でも、夏季には小屋裏の熱を排除するため、また、冬季には小屋裏での結露を防ぐために、小屋裏空間は十分な換気・通風が必要である。
照明効率・照明負荷の検討
◇照明効率の改善
照明効率を上げるため、室内の仕上げに明るい色を使用する。
◇照明負荷の軽減
事務所建築物では、一般に、照明に使用されるエネルギーは、全体の30%近くを占める。照明器具からの発熱は冷暖房負荷につながるため、照明の節約は省エネルギー対策に有効である。
各机に作業に必要な照度を確保する個別照明を置き、全般照明の照度を少し下げるタスク・アンビエント照明方式とすると効果的である。
◇植栽・その他
建物周囲の植栽は、方位によって樹種を使いわければ、住宅の防暑計画だけでなく防寒計画においても有効である。
南側に落葉高木を植栽すると、夏季に日射を遮蔽し、冬季には落葉によって日照を得ることができる。
南側に芝生を植栽すると、夏季に地表面からの反射日射や高温になった地表面からの再放射(照り返し)防止できる。
屋上に芝生を植栽すると、天井からの日射熱を防止する。
外壁を白色系の色彩にすると、遮熱効果を期待できる。
省エネルギー空調方式
適正な環境を維持する必要があるのは、一般に居住域(床上1.8m以内の空間)である。
居住域を効率的に空調制限することで、居住域以外の空調制御を緩やかにでき、省エネルギーを図ることができる。
タスク・アンビエント空調方式(パーソナル空調方式)
タスク空調(タスク域=作業域に対する空調)とアンビエント空調(アンビエント域=室内全体に対する空調)を分け、居住者の直近のタスク域を効率的に空調する方式。
個人の設定に応じた空調制御ができる。
タスク空調の吹出口を設ける位置によって、床方式、天井方式、デスクトップ方式、パーティション方式等がある。
床吹出し空調方式(フリーアクセス空調方式)
OA機器等の配線ルートである二重床(フリーアクセスフロア)を利用して床面から空気を吹出す方式。
吹出口の位置を自由に変えられるので、OA機器の配置の偏りは間仕切の変更、負荷の増加等に対応しやすい。
ディスプレイスメント空調方式(置換空調方式)
内部発熱が大きい事務室や大空間などで、設定温度よりもやや低音の空気を、床面付近から緩やかに吹出し、熱を伴って発生する汚染質をその浮力によって上昇させ、天井付近から排出する方式。
安定した上下温度分布の形成により、居住域(床上1.8m以内の空間)と日居住域の空気が混合せず、効率的に換気が行われる。
自動制御方式
◇台数制御
冷凍機や循環ポンプ等は、軽負荷で運転すると効率が低下するので、負荷に応じて機器の運転台数を選定し、余分な機器は運転を停止する。限られた台数で高効率運 転を行うことで、省エネルギーを図ることができる。
したがって、熱源機器などは、大容量の機器を1台設けるよりも、小容量の機器を複数台設け、負荷に応じて最も効率の良い状態で運転することが省エネルギー上望ましい。
◇流量制御
搬送動力の節減は省エネルギー効率が高く、流動制御が有効である。
流量制御の例として、空調設備における冷温水の流量制御があげられる。
◇送水温度制御
空調機で必要とされる冷温水温度を確保するため、また、冷温水温度を一定に保ち空調機の定常運転による高いCOP(成績係数)を確保するため、さらに、低い冷水温度の冷水供給(大温度差搬送方式)により所要流量を減少するため、などの目的で、送水温度制御が行われる。
◇COP(成績係数)
台数制御、流量制御、温水温度制御は、互いに密接に関わり、冷凍機のCOP(成績係数)や循環ポンプ等の搬送エネルギー量など、システム全体の効率を考慮することが重要である。
◇タイマー制御
夜間電力の利用による蓄熱や貯湯、利用者のいない時間帯の照明・空調の節電などタイマーによって制御する装置を取り付ける。
省エネルギーシステムと機器
設備システム上の省エネルギー手法
◇コージェネレーションシステム/CGS(熱併給発電システム)
大規模な建物(建物群)で、使用電力をガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン、燃料電池などの発電機で直接発電し、その排熱を空調・給湯などの熱源として有効利用するもので、エネルギー利用の総合効率の向上を主な目的として導入される従来の発・送電システムによる電力会社からの供給方式に比べ総合的な省エネルギー効果がある。
◇燃料電池を用いたコージェネレーションシステム
近年、省エネルギー効果、CO2削減効果、発電効率、騒音・振動等の点でより優れた燃料電池の開発が進められているリン酸型で40~45%であり、また、小型化、小容量化の点から開発が進められている固体電解質型では50~65%が期待されている。システム全体において、排熱利用を含めたエネルギー利用の「総合効率」は70~80%である。
◇地域冷暖房方式(DHC方式)
冷暖房用熱源設備を地域に集約配置し、各建築物に冷水、温水、蒸気等の熱媒を供給する方式。
ごみ焼却排熱、下水排熱、河川水等の未利用エネルギーは、地域冷暖房の熱源としての活用が可能である。
その他の各種省エネルギー器機等
◇熱交換器
放熱器用の加熱冷コイル(プレートフィンコイル)も熱交換器の一種だが、換気による排熱回収用としては、回転式全熱交換機、固定式全熱交換器などがある。
回転式は、排熱を内部の熱交換エレメントが吸収し、これを回転させて給気部分で、新鮮空気に熱を伝えるものである。
空調機器や住宅の給排気セントラル換気方式に用いられる他、単独の居室用換気扇(給排気換気)にも用いられる。
◇インバーター
交流電源の周波数を自由に変える装置。これを圧縮式冷凍機やヒートポンプに用いると、負荷に応じてモーターの回転数を連続的に変えることができるため、ON、OFFを繰り返して負荷の増減に対応するものよりも効率がよい。また、この装置と組み合わせることで、蛍光灯の調光がきるようになる。
◇エコマテリアル
環境保全のために考慮された材料、部材の総称で、程環境負荷材料ともいう。
生産から使用、廃棄処分するまでの総排出CO2量が少なく、処分後の再利用が可能などの特徴をもつ材料部材のこと。
エネルギーの有効利用
ソーラーシステム
ソーラーシステムとは、太陽熱エネルギーを暖冷房・給湯に利用するシステムである。
太陽熱を集める集熱部分と放熱部であり、これに蓄熱槽、補助熱源などの機器を組み合わせたシステムが一般的である。省エネルギーには有効であるが適正な室内環境を保つには不十分である。
◇ソーラーシステムの暖房
ソーラーシステムによる暖房には、温水暖房、床暖房などがあり、熱媒体に空気を使ったものでは、暖められた空気をそのまま各室内に循環させるものがある。
◇ソーラーシステムの冷房
ソーラーシステムによる冷房は、吸収式冷凍機を用いて行う。吸収冷凍機は、冷水から熱を奪って蒸発した冷媒をもとに戻すのに加熱を必要とする。この加熱にソーラーシステムの熱を利用することで、冷房を行うことができる。
太陽熱給湯システム
集熱器をもいて、水を温め、温水を作るシステムで、自然循環系、強制循環系等に分類される。給湯温度は90℃以上にできる。衛生上の問題で飲料することは避ける。
ソーラーハウス
暖房・給湯等の一定部分に太陽熱を利用する住宅をソーラーハウスという。
アクティブソーラーハウスとパッシブソーラーハウスとに分類される。
また、両者の併用型をハイブリッドソーラーハウスと呼ぶこともある。
◇アクティブソーラーハウス
集熱・蓄熱・熱移動のために機械的な設備(集熱器・ファン・ポンプ等)を使用する方式。機械的手法によるソーラーハウス。
◇パッシブソーラーハウス
機械的な設備を用いずに、建物自体の工夫(床蓄熱・壁蓄熱等)により太陽熱を利用する方式建築的手法によるソーラーハウス。
太陽電池
太陽光をシリコン結晶に当て、その光電効果により直接電力が発生する装置である。住宅用システムとしては、太陽電池パネル(太陽電池モジュール)からの電力をインバーターに接続し、50Hz又は60Hzに変換後、分電盤を介して配電させる。
分電盤には、常時安定した電力が供給できるように電力会社からの引込み線も接続される。
クールチューブ・ヒートチューブ
地下5m以下の地中温度が、その地域の年間平均温度と同じ程度であることを利用する
地熱利用方式である。
外気冷房方式
冬季においても、事務所、デパート、商業建築などでは、冷房が必要となる。
この時、冷凍機を運転するまでもなく外気を導入して積極的に利用する方式である。
外気を導入すると室内が冷え過ぎてエネルギーロスになるので、室内を適切な温度に下げるのに必要な量だけ外気を導入できるような考慮が必要である。
夜間外気導入方式(ナイトバージ)
夏季において、外気温が低下する夜間に外気を導入(夜間通風)して躯体の温度を下げ(躯体蓄冷)、翌日の室温上昇を抑える方式。
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