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土壌・水質汚染

目次

公害の起源

日本に於ける公害の始まりは、明治から昭和に掛けて問題となった、足尾鉱毒事件が、日本の公害の原点と位置づけられている。

◇江戸初期から銅山として栄えた栃木県足尾町の旧足尾銅山を汚染源とし、1958年には足尾町の鉱泥堆積場土堤が決壊し、多量の汚染土砂が渡良瀬川を介して現群馬県太田市の広範囲な水田を汚染し、その被害はカドミウム汚染米として現れ、1973年の足尾銅山閉山後もその影響は残った。

 

日本に於ける法規制

土壌・地下水汚染問題等水質汚濁は、「水質汚濁防止法」等により規制されてきた。

土壌汚染については、長期間経過しないと、汚染が顕在化しない、汚染土壌が私有地に属すること等、汚染状況の把握が困難なため、規制法の導入、制定、施行が遅れた。



◇水質保全法・工場排水規制法

昭和33年



◇水質汚濁防止法(9項目)

昭和45年12月25日 法律 第138号



◇公害防止事業費事業者負担法

農用地の土壌汚染の防止等に関する法律

昭和45年 制定


 

環境庁の取り組み

昭和57年、全国主要都市の地下水調査を実施

日本各地の地下水からWHO・厚生省暫定基準値を上回る化学物質が検出された。

汚染源は市街地の汚染であり、汚染源が工場等の生産施設であった。

汚染の中心は有機塩素系溶剤であり、半導体産業や金属脱脂、ドライクリーニングに使用されていた。

◇化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)

昭和62年 改正

トリクロロエチレン等の10物質が「指定化学物質」となった。

◇水質汚濁防止法

昭和64年 改正

汚染原因物質の排水または地下浸透に起因して生命や身体の障害を受けた場合、加害者が無過失であっても損害賠償責任が課せられる。

◇土壌環境基準

1991年制定

10項目の化学物質に基準を設ける。

◇重金属等に係る土壌調査・対策指針及び有機塩素系化合物に係る土壌・地下水汚染調査・対策暫定指針

1994年

◇土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び運用基準

1999年 提示

◇土壌環境基準

2001年3月 改正

27項目の化学物質に基準を設ける。

◇土壌汚染対策法

2003年2月15日 施行

 

公害問題

水俣病

昭和30年前後

熊本県水俣湾周辺で発生した有機水銀中毒事件。

原因

水俣市にある新日本窒素水俣工場の排水に含まれる有機水銀が魚介類を通して人体に入り中毒を起こした。

新潟水俣病

昭和40年前後

新潟県阿賀野川下流に、水俣病と同じ有機水銀中毒による水俣病が発生。

原因

昭和電工鹿瀬工場からの排水が原因。

宅地開発地六価クロム汚染

昭和50年代

化学品製造メーカーで発生した六価クロムを利用して埋め立てた土地を、東京都が購入し住宅地として開発したが、後に土壌汚染が判明した。

化学工場跡地再開発

1990年代

広島県福山市の化学薬品メーカーの工場跡地を大規模商業地として再開発

計画の途中で水銀・PCB等の土壌汚染が判明し、デパート建設を中止。




産業廃棄物処分跡地

1990年代

金属メーカー処分跡地から六価クロム、砒素等5種類の重金属汚染が判明

アミューズメント施設建設計画が凍結された。

工場跡地マンション建設

1990年代

メッキ工場跡地

マンション建設が計画されていた工場跡地に六価クロムによる土壌汚染が判明。

売り手企業は汚染土壌の入れ替え等多額の浄化対策費を負担した。

大阪アメニティパーク

1989年1月

大阪アメニティパーク(OAP)地域再開発

三菱金属(現三菱マテリアル)大阪製錬所跡地

1989年

大阪市再開発地区計画制度 認定 第1号 大規模再開発事業

事業者 三菱地所・三菱マテリアル・大林組等

敷地面積 約5ha

総延床面積 約26万m2

巨大オフィスビル 39階建 延床面積約14万m2 

帝国ホテル 24階建 延床面積約7万m2 

高級マンション 30階建 総戸数518戸 延床面積約7万m2



重金属汚染を隠して、高級マンション販売

1997年 オープン以降

基準を超える汚染湧水を無処理で大阪市下水道に放流

1989年 閉鎖大阪製錬所跡地

土壌・地下水汚染調査 実施

高濃度のヒ素・セレン・鉛などの重金属汚染

一定の対策を実施したことを隠して、マンションを販売

2002年9月

OAPの地下湧水から下水道基準を超えるヒ素とセレンが検出

2002年11月 表層土壌調査

環境基準を超えるヒ素・セレン・鉛が多数検出された。

 

水質汚染

水質汚染の原因

家庭から出ている排水「生活廃水」が主な原因です。

工場や事業場からの排水。

◇産業廃棄物や不法投棄

◇船舶排水による海洋の水質汚染

◇空気中の大気汚染物質が雨、雪に含まれている

◇農薬による地下水の水質汚染、河川の水質汚染


水質汚染の影響

水俣病・イタイイタイ病などの公害問題を起こす。

水質汚染による、健康被害。

 

土壌汚染

土壌汚染とは、なにか

公害のひとつである。
環境基本法に規制される、典型7公害のひとつである。
土壌、水、大気等に含まれる有害物質の量が、環境基準量以上であり、ひとの健康保護や生活環境の保全を維持する上で望ましい基準を、超えた状態にあることをいう。

土壌汚染問題の状況

企業経営環境の変化を受けて遊休不動産の流動化圧力が高まっていること。

高水準の対日直接投資が続き、投資における欧米式の環境リスク評価の考え方が導入。

不動産証券化等の進展により投資家の裾野が広がった。

環境問題に対する社会的認識が更に高まった。

土壌汚染の特徴

工場用地、クリーニング店及び廃棄物処分場跡地等の都市部が発生源となる。

土地造成における盛土に高濃度の汚染物質が混入している。

市街地における土壌汚染がほとんどである。

円滑な土地取引の阻害要因ともなっている。

土壌汚染事例

マンション開発等において、土壌汚染が原因で事業が凍結されたり、損害賠償訴訟に繋がる等のトラブルが発生しているものもある。

土壌汚染の原因

有害物質の漏出や汚染排水、生活排水の地下浸透及び産業廃棄物の埋め立て処分地等からの有害物質の溶出等により起こる。

土壌汚染物質の分類

揮発性有機化合物(ベンゼンを除く)

漏出すると、全て揮発せずに、地中に存在する。また、地中深く浸透するため、地下水汚染を引き起こす。

重金属

鉛、水銀、砒素等で、漏出しても、地表近くに存在し、土壌中深部へ拡散しないことが多い。汚染範囲は、比較的限定された範囲となる場合が多い。

土壌汚染の問題点

土壌汚染状況が目に見えないため、気づきにくく、認知や確認が遅れる。
土壌汚染の調査方法や対策の方法の確立がなされていないため、方法論は多数あるが、適切な効果を発揮する方法が確立されていない。
汚染期間が長期にわたるため、原因の特定が難しい。
調査、対策、浄化処理の期間が長期に渡るため、多額の費用が必要となる。
土壌汚染に対する認識と知識の理解が十分でない。
以上のような問題の解決と対応が求められる。

土壌汚染対策法の施行

平成15年2月15日
不動産鑑定評価基準の改正
平成15年1月1日施行

土壌汚染対策法の目的

土壌汚染の状況把握に関する措置、汚染による人の健康被害の防止措置を定め、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護する。

健康リスクの考え方

「土壌汚染による健康リスク=汚染土壌の有害性の程度×暴露量」で表すことができる。
暴露量がない(ゼロ)の場合は、健康リスクは問題とならない。

法の対象物質

第1種特定有害物質:揮発性有機化合物
第2種特定有害物質:重金属
第3種特定有害物質:農薬、PCB

指定基準

含有量基準

汚染土壌の摂取による影響を防ぐための基準
汚染土壌の上に一生涯(70年間)居住し続けて、1日あたり大人100mg、子供200mgの土壌を摂取し続けても健康に影響が現れない濃度に設定されている。

溶出量基準

汚染された地下水を飲むことによる影響を防ぐための基準
土壌に含まれている有害物質が溶出した地下水を、1日に2リットル、一生涯(70年間)飲み続けても健康に影響が現れない濃度に設定されている。
これは、水道水と同じ基準である。

 

土壌汚染対策法のしくみ

後日、概要を記述します。
土壌汚染対策法を参考にしてください。

 

土壌環境リスク

不動産価値

不動産とは、「土地とその定着物」をいう。

汚染された土地の価値は、
土壌汚染された土地から、発生する問題は、売主リスクである。

どのような土地が、問題あるか。
工場閉鎖跡地やガソリンスタンド

土壌汚染地下水汚染と経済リスク

汚染調査と浄化対策費
賠償責任
資産価値の低下に伴う担保価値の低下=不動産価値の消失
売買の制限

不動産鑑定評価

「土壌汚染に関わる不動産鑑定評価上の運用指針」等による。

環境サイトアセスメント

環境サイトアセスメントの必要性
「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理等の改善の進めに関する法律」
排出者責任
平成14年より、排出者責任が問われるようになりました。

 

環境アセスメントの概要

環境アセスメントの実施

調査準備

調査対象物、調査方法、機密事項等の確認

資料収集

地図、航空写真、土地建物謄本、環境白書や水位測定結果等公的環境資料
アンケート調査
現地ヒアリング
土地建物使用履歴、施設の現状等の聞き取りを行う。

現地視察

環境リスク対象物及び関連施設等の調査
土地、地面や建物、床面のしみや汚れの確認
有害物質の保管場所の調査、産業廃棄物の保管場所の調査及び保管文書及び記録の収集

調査範囲の確認
土壌ガス、ボーリング、地下水調査

報告書の作成

対策計画の設計

浄化工事

浄化工事及びモニタリング

環境リスク診断

汚染物質

第1種特定有害物質:揮発性有機化合物
第2種特定有害物質:重金属
第3種特定有害物質:農薬、PCB

リスク評価のしくみ

人への健康保護

水、土壌、大気中の有害物質は、摂食や皮膚接触により、皮膚より人体に影響を与える。
水は、飲料や摂食により、経口摂取され、人体に影響を与える。
大気は、呼吸により、吸入され、人体に影響を与える。

汚染の人体への影響及びその経路の調査

汚染物質の存在範囲と濃度調査及び許容範囲(法的に規制数値が記載されている。)
影響を受ける人や生活環境の実態の調査

汚染の分類

汚染が存在する恐れがないと認められる土地
汚染が存在する恐れが少ないと認められる土地
汚染が存在する恐れがあると認められる土地

 

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